まちづくりを始めたい、まちづくりをやっているが次なるステージに行きたい、というお話を色々と受けたりする。ま、僕も大したことはやっていないのですが、ただひとつ、既に始めているということだけは確かです。

そんな人は「何事も最初から要領よく、失敗しないで、最大限成果を得よう」なんて考えていないだろうか。

まちを再生する事業をやりたいといいつつも、実態としてやっていることは「講演会、ワークショップ、懇親会」をだけだったりする。まちづくりを始めるのに勉強→みんなで考えて→もっと仲良くなって、ということを輪廻方式で続けていて「もっと準備したから挑戦を始めよう」ということが、とてつもなく多い。

これは、先日ツイートしたら"まちづくり"分野だけではない様子だ。

1.問題は回避できないことを知る。
 いくら準備しても予期できないことは予期できないので、問題はいくでも発生する。これは一年間準備したから発生しなくなることもなく、沢山の資金があればあったなりの問題が、なかったらないなりの問題が、人材も沢山いればいたなりの問題が、いなければいないなりの問題が、さらに自然災害などの回避不能な問題が起きたりとか、"必ず"発生するんです。これを自分なりに準備して想定して、それぞれに対応策を練って、、、、なんてやっていたら「あーこんなに問題が起きそうだし、辞めよう」って話になる。そして、次なるネタを探しにさらなる勉強会を続けていく・・・・・となって、結局スタートしない。つまり、下手な考え休むに似たり。問題はいかなる時にも発生するものであって、それに対応していくしかないと知ることが大切だ。


2.最初の計画はほとんどムダになる。
 準備する時に入念な計画を策定しなくてはならないという幻想があるが、ある程度の発想をまとめてみることは有効だと思うが、プロジェクトのほとんどは、それがそのまま形になったり、成功したりすることはない。途中で軌道修正したり、ひょんなことで生まれたアイデアで根本から変わったりする。それでいいのだ。一歩踏み出したからこそ得られる情報、やってみたけむどうまくいかないから違うやり方をしてみる、それでいいのだ。だから始めずにずーっと計画を練りまくって完璧な資料を作って何も始めないのでは意味がない。リーンスタートアップとかはこの話ですね。


3.皆で考える前に自分で考える。
 このエントリーの前にも書いている主体的に考えることが大切なのに、人の意見とかを聞いたりしてばかりのワークショップとかで集合知に逃げていては「俺はこうしたい」という話にならない。いつまでもみーんなで出口のないアウトプットをまとめるしかない。何かを変えるってことは、まずは自分が決断することで、自分が当たりをつけて進むしかない。人の意見を聞くのはその後でいい。人の挑戦への意見なんてかなり無責任なものばかり。何より、自分で考え抜いたことって「やってみたくなる」。条件とかうんぬんではなく、居てもたってもいられなくなったりする。


4.始めてみるから楽しい。
 ずっと考えているだけだと、面白くない。やり始めてみると大変なこともあるが、やったことで「助かる」「問題が解決できた」とか反応がどんどん返ってくる。単に言ってるだけとは雲泥の差だ。この反応をもとに、多少の困難があっても突破してがんばろうという気持ちになっていく。さらによくしようと思える。どんどん楽しくなっていく。ずーっと準備をしていていつまでも始めないのでは、このようなことは起きない。逆に楽しくなかったら辞めたほうがいい。ちなみに楽しいというのは、アホホおほほ、的な楽しいではない。充実感があるということだ。


5.完璧はない。
 準備というのは何かやっているよう気にはなるけど、結局何もやっていないのと同じ。行動は多少なりとも改善に繋げていくことができる。完璧な成果はないし、失敗もしたりする。しかしその度に気づきがあってどんどん、取り組みで生み出すパフォーマンスを改善していくことができる。それが大切。最初から完璧にならなくてはならないと思う事自体が、挑戦の醍醐味を知らないとも言えるだろう。やってみて、それでどんどん変化していくしかない。小さなことから始めるのでもいいじゃないか。0ではないのだから。


ま、これは地味なことばかりやっている僕なりの意見だから、もっとセンスのある人はシャープなやり方をしているのかもしれない。ただもし「何かを始めたい」と思っているのであれば、それをまずは試してみることが大切であって、準備を入念にやって資料作ってプレゼンやって絶賛されるまで頑張るというのはやめたほうがいいと思う。

いつ始めるかを決めるのは条件ではなく、自分自身の覚悟。
「今日から始めよう」と決めてしまえば、結構あっけなく始められてしまったりもする。そこまで恐れず、構えずにまずはやってみよう。それが何より大切だと思う。

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