自分なりのスタンスとして、地域で事業を生み出すのが仕事であるため、様々な地域での事業開発に携わってきました。またこれまた仕事柄、行政やコンサルなど含めて事業開発ではない形で地域に携わってきて、それが行き詰まってしまった。そこで事業開発をやりたいという要請で共にプロジェクトを立ち上げたりすることもあります。

ただ、ここで大きな問題があります。
新規事業の立ち上げとプロセスでの失敗を乗り越えての成功を目指したり、過去の負債事業の思い切って整理する、ということを経験したことがある人がほとんどいないのです。そうすると、新規事業をやるといっても、やり方自体が従来の失敗を繰り返してきたやり方しか知らなかったりするのです。本当に事業を作るって楽しいことだったりするのに、会議室に篭り、専門家とか有識者を集めて議論し、さらにそのとりまとめの為に事務局業務を外注したりして立派な計画書を作って、、、、そして、、、、失敗する。けど、仕方ないんです。そのやり方を指示されて若手の頃からやってきて、気づいたらそれしか知らなかったという人もいたりするからです。

そこで、やはり民間で皆が知っているようなサービスとかがどのように立ち上がったのか、というのを知るのは非常に良かったりします。昔ながらの官僚型組織だと型破りのようにみえるかもしれませんが、実はこっちのほうが「型」がしっかりあったりするのです。

何より重要なのはモチベーションであり、ハイテンションな空気感。いいプロジェクトには必ず皆がやる気になるモチベーションの源泉が明確にあり、さらにどんどん攻めていくというハイテンションな空気があります。この「おーーなんか噛み合ってるぞーー」という感じがたまらなく快感になるわけです。

少し前の本になりますが、先日おしえてもらって読んだら、この空気感が非常に感じれるものだったのでご紹介します。誰もが知ってるホットペッパーの立ち上げをしてきたリクルートの方が書かれた本です。かなり具体的な中身に迫っていて、元々の地域情報系の不採算事業の立ち直しと、新規事業であるホットペッパーの立ち上げをどのように行っていったのか、という中にかなり他の組織でも見られる普遍的な要素も多分に含まれています。

数字を作り出す営業部分には「リクルートーーー!」って感じですが、ま、数字を計画するだけではなく、しっかり自分たちでいった数字を作り出す(営業を達成する)というのは、非常にまちの事業においても重要な点です。事業開発で失敗するパターンは、能書き垂れるわりに数字を作り出せない、つまり営業力が全くないというまちづくりチームです。別のチームでやると同じ地域でもさっくりできちゃったりするんですよね。計画立てるだけのプロはもういらないのです。


新規事業を立ち上げたりしていくことってこういう高揚感のある空気感なんだよね、というイメージを持ってもらいたいなと思っています。なんか真面目くさって、自分の立場とかタテマエを中心に話してても全くダメ。

ただし、こういう状況を目指さなくてはならないというのを知らないと、お通夜のような会議を繰り返し、責任を誰もとりたくないので組織再編ばかりやってみたり、できない言い訳資料に時間をかけてみたり、という話になるわけです。

ということで、失敗続きの地域において、これから本気で事業を立ち上げる時に一読されたらどうかなと思います。

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