都市系の分野でも歴代いくらでも本はあるわけですが、都市の発展やマネジメントみたいな視点から皆で読んで議論する一筋の流れがある5冊を紹介します。これらを読んだ上で一定の都市というものの存在、それに必要とされる経済・経営的要素について議論するのは結構面白いと思います。

まぁ今更僕が紹介するまでもない5冊ですが、改めてこれらの一筋の流れを読み解くのは面白いのではないかなと思います。子どもたちは夏休みですし、大人もこれらを読んだ上で一つのレポートを書くという宿題でもやるのもよいのではないでしょうか。


◯ハワード「明日への田園都市」
言わずもがな歴史的な一冊ですが、個人的には実際の開発によって生まれる付加価値とそれによって開発費を工面したり、ランニングに対する費用とその負担構造など極めて経営的な視点が好きです。これみると計画が大切ではなく、あくまで計画が経営的に成立するものにするというノウハウが極めて大切だと思っています。






◯ジェイン ジェイコブズ「発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学」
クリアランスに対する一定の問題提起と内発型の取り組み、市民参加のあり方について考えさせられる一冊。あんまり経済学的な説得力は感じないところではあるのですが、それでもこれもまた大きく都市系に影響を与えたものだけあるものです。



◯リチャード・フロリダ「クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める」
都市競争を意識した一冊としてこれもまた有名な一冊。そもそも発展する都市にクリエイティビティという要素を整理したこと自体が、何を持って都市が発展していくのかということについて考えさせられます。ま、このあたりは都市競争の視点から同じようで、因果を逆にみている後掲のモレッティの年収は住むところで決まる、と連動して考えさせられます。




◯エドワード・グレイザー「都市は人類最高の発明である」
そもそも都市ってなんなのよ。都市がなかった時代の人類ってどうだったんだっけ。ということを考える上で、大変面白い一冊。まぁ都市礼賛という感じではあるものの、今は都市はダメ、地方がいいね!みたいな話とかが地域系ではよるでるものの、都市自体の機能的な素晴らしさというものを改めて考える上では有用。




◯エンリコ モレッティ「年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学」
これは今年かなりヒットしている一冊。都市競争と産業と雇用というあたりを整理。アメリカ西海岸の不動産問題とか見ても、やはり産業だよねという話は納得感があるし、日本国内でも中部地域とかはやっぱり色々と事業開発が楽だったりするのも同じだなと。



ま、どれも読んで損はないですが、まとめて5冊とおして読んでみるのはいいと思います。
 
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