さて、日頃中心市街地においての事業収益性改善について考え事が多いのですが、ではどんくらい中小企業って儲かっているの?というのを統計で(まーあくまで統計での世界ですが)みてみましょう。ある程度の感覚値は養われます。

この話題は、

■財務統計からみる、中小企業の収益力 (No.756)
上記のように2008年に同じような趣旨の内容で取り上げたのですが、その後中小企業庁の調査が変わり「中小企業実態基本調査」という調査名で定期的に行われています。


さて、そんな中から営業利益率を見てみましょう。

[小売業]
小売業は5名以下では平均値がマイナスとなっており、利益は出ていないということで、50名以上雇用している企業での営業利益率は1.47%となっています。小売業が厳しいのを如実に表しています。

[不動産業]
5名以下で営業利益率4%、50名以上で7.3%。

[飲食・宿泊業]
飲食・宿泊が一括りなのでなんともいえないですが、この統計では儲かってはいないです。
50名以上の企業でも1.7%程度。

[サービス業]
こちらも儲かってないですね。50名以上の事業所でも2.7%。

このようにやはり相変わらず、中小企業商業は厳しい上記であることがわかります。

本来は各地元でもこういう統計をみながら、商店街内の各事業の財務諸表分析とかをやってみると、課題もよりクリアになったりします。儲からないという定性的な話から、具体的な利益率の話しをする。

そうすると、それを改善するために何をするのか、も明確になります。苦しいことですが、事実と向きあうことは重要だったりします。

また、経営効率改善が急務とも言えます。これまでの固定費構造のまま売上高が低下してくるわけですので、経営効率をあげないといけません。目の前のコスト削減をしつつ、ビジネス自体を効率化する、その見込が立たないのであれば業態を変えるなどが不可欠だなと思います。

不動産ビジネスもまだ利益があるうちに、賃貸方法を変えていかないと事業所数の純減が進んでいますので、再投資余力の残し方、その再投資先を慎重に考えないと、より低収益化が進むと思います。

また、エリアの事業収益をあげるため、これら複数業界を横断で一般管理費を削減していくプロジェクトの有効性を改めて感じました。営業利益率1-2%程度のなか、年間で1000万円削減できれば、それは5~10億円の売上高増加と匹敵するわけです。

熊本では年間450万円程度の削減しているので、それだけでもエリアの事業収益としては、2億2500万円から4億5000万円の売上高に匹敵するということです。

まぁあくまで標本調査なので、儲かっているところは確実に儲かっているのでなんとも言えないですが、商店街の会合で数字を持ちながら自分たちの商売のポジショニングを確認するのにはいい資料だと思いますね。一般管理費の中身を比較したりもできるので。商店街の会合ですぐにビールを開けず、イベントの企画会議だけではない、こういう数字をもった会合をやったほうがいいと思いますね。

ってこんな提案していると、ますますどんだけ商店街のマニアなんだと言われそうですが。