全国でまちづくり事業の発展を目指して、事業で頑張るまちづくり会社等でアライアンス団体を発足させたりもしています。しかしながら、まだまだ規模的には小さすぎるほど小さいわけです。

今後目指し、追い越し、独自のポジショニングを考える上で、今一度全米最大のまちづくり団体であるNational Main street Center(以下、NMSC)の経営規模について整理したいと思いました。
日本でも同団体が提供するMain street Programの概要とかを伝える書籍とかは紹介されています(本ブログエントリーの下にリンクをつけておきました)が、その組織経営規模とかについてはあまり触れられていないので、一度整理しちゃいます。

本ブログでの過去のエントリーもいくつかあるので転載します。


ソースは以下です。

■National Mainstreet Center Annual Reports

同センターの取り組みは、多岐に亘るので詳しくはアニュアルレポート本体を読んで頂きたいと思います。

NMSCは、the National Trust for Historic Preservationという全米非営利組織の傘下にあります。その母体のアニュアルレポートしか公開されていなかったので、そこの経営規模を分析します。the National Trust for Historic Preservationが歴史的建造物保全をする際に、経済的な再生を果たすことなく歴史的保全をすることは難しいということで、設立されたNMSCですので、ひとまず母体の分析ということで。

the National Trust for Historic Preservationの概要ですが、

「1980年の発足以来でMain street Programは約2200の都市で導入されてきました。累計490億円の投資、206,000件以上の建物再生、約88,000件のビジネスを産み出し、392,000人の雇用を創出してきています。直近のMan street Programのパフォーマンスでは1$あたり投資で25$の経済効果を生み出すレバレッジを実現しています。」

といった感じです。

2009年の総予算規模は、8211万ドル(=67億3302万円:1$82円換算)となっています。
主要財源は寄付金、投資収入、コントラクトサービス(都市再生業務の受託とかではないか)・プログラム販売・広告宣伝業務、各種手数料収入、イベント収入、メンバー会費、助成金といったような構成になっています。

全体の収入部門としては、非事業収入(寄付金、会費、補助金)と事業収入(投資収入、サービス提供報酬、手数料ビジネス収入、イベント収入など)に分けられます。2009年の割合をみれば、非事業収入が47%、事業収入が53%となります。

2000年のレポートをみると総予算は、4929万ドル(=40億41万円:1$82円換算)。10年ほどで1.5倍程度に成長していることがわかります。収入割合の変化をみると、2000年段階では寄付金収入が54%を占めていたのが2009年には42%まで低下、一方投資収入は2000年段階には15%にとどまっていたのが2009年には21%まで増加しています。またコントラクトサービスなどの収入も2000年8%であったのが2009年に15%まで伸びています。このように、2000年段階では非事業収入が全体の65%を占めていたことから、事業収入の比率が高まっていることがわかります。

この変化は2000年にNMSCが、National Trust Community Investment Corporationという営利法人を設立し、投資部門強化を図った影響が出ているようです。


経費構造を見ると、NMSCらしく歴史的建造物関連にかかるコストが59%を占め、教育コスト、ファンドレイジングコスト、一般管理費、メンバーの渡航費といった順番になっています。歴史的建造物保全を実現するために、経済活動サポートなどがMain street Programには含まれますので、本当はよりどのサービスにどの程度コストをかけているのか細かな中身をみたいところですね。一版管理費として459万ドル(=3億7638万円:1$82円換算)となっていますので、なかなかです。

日本ではあまり見かけないのがファンドレイジングコストでしょう。寄付金集めなどにも当然ながらコストがかかり、米国にはこの専業の方がいるので彼らの手数料ですね。寄付した人たちのリストも掲載されていますが、個人寄付で100万ドル以上寄付している人もいるくらいですので、すごいですね。


■雑感
米国にはNMSCがになっている歴史的建造物保全というトラスト運動という基盤がありますし、1980年からの31年間の蓄積もあります。しかしながら、日本と比較して年間67億円の予算規模で地域再生を通じた歴史的建造物保全していくダイナックな動きは大きいです。ただ、不動産関連投資、独自サービス収入、委託業務系収入、寄付金収入の比率については結構参考になりました。あと確実に事業創出と雇用創出している点はより私たちも学ぶべきところです。

ただ事業部門の中身を見ていくと、寄付金収入についても国内で寄付税制改正によって変化することは見込めますし、事業収益についてもそれほどテクニカルな方法を用いているとは思えません。むしろ日本のほうが進んでいる部分もあると思います。

やはり10年スパンくらいでこの程度は追いつき追い越していく、日本独自の全国規模での事業型まちづくりの推進が必要だなと思います。

ちょいと今後連続で海外の各種まちづくり関連団体の経営規模とかについては調べたりしていこうと改めて感じました。

※即席でみて書いたので、間違えとかあったらすみません。






















評価:

安達 正範,中野 みどり,鈴木 俊治

学芸出版社



¥ 2,415


(2006-11)