昨日の続きで流通企業のクレジットカードビジネスの実態について説明したいと思います。

クレジットカード市場規模は43兆円(クレジット産業協会・平成17年調べ)となっている。発行枚数は3億1000万枚に上っているが、そのうち流通系カードは全体の34%に当たる8540万枚となり、銀行系に次ぐ第二位のセグメントとなっている。また1997年と2007年を比較すると、最も発行枚数の実数及びシェアを伸ばしたのは流通系カードであった。

系列別クレジットカードシェア推移

また法人カードと個人カードに区分すると、日常的な買い物などに利用する個人カードシェアでは、構成比率で33%となっている(平成17年度特定サービス産業実態調査)など、流通系カードの日常生活への浸透率は非常に高い。近年、銀行もキャッシュカードと一体型のクレジットカードを発行するなど個人カードでもシェアを伸ばしてきているが、依然として個人市場では流通系カードは強い。

このように流通系クレジットカードビジネスは拡大しているクレジットカード市場において、確実にシェアを拡大してきている。従来では金融ビジネスなどを展開していないにも関わらず、銀行などの伸びと同等かそれ以上に成果を上げられているのは、重点事業として必要な経営資源を投入し、さらに小売流通という消費の場を押さえている本業の利点を生かしたこと(具体的には値引きなどの会員特典)が優位性を確立できた結果とも言える。

JCBが2000年以降に実施している「クレジットカードに関する実態調査2007」によると、クレジットカードの利用業種を見ると、スーパーマーケットを筆頭に百貨店、携帯電話料金、ガソリンスタンド、家電量販店、オンラインショッピング、その他小売店、飲食店と続いている。実にクレジットカード利用者の24.4%がスーパーマーケットでの利用に用いており、特に40代女性では4割近くに達している。また、その他小売店でも11.8%は利用している実態が明らかとなっている。このようにクレジットカード利用で最も利用される拠点として、大手小売流通企業が展開するスーパーマーケットや百貨店が挙げられていることは、流通系クレジットカードビジネスの成功と発展を指し示していると言える。またクレジットカードの保有枚数は05年より横ばいとなり、一方で一番多く使うカードの利用率は月3.3回から4.5回へと伸びており、一枚目への集約化が進んでいる。
このように着実に利用される場を持ちつつ、魅力的なインセンティヴを設けてきた流通系カードは最も使うカードの一つとして頻繁に利用されるように成長してきたのである。

明日は流通大手のクレジットカード企業である、イオンクレジットサービスのケースを取り上げて流通系クレジットカードビジネスの実態を分析したいと思います。