地域通貨に関しては90年代後半に、地域活性化の一つのツールとして、北海道栗山町のクリンを初めとしていくかつの事例を元に全国的にブームとなりました。

また諸外国においては第二次世界大戦などから様々な地域通貨(国が国内に流通させる通貨とは異なり、限られたより小規模なコミュニティにおいての価値の流通を促すもの)への取組みはありました。また金融危機などの問題を越えて補完的な通貨システムとして、一部の中小企業組合員などの間での手形的な利用から、最近ではソーシャルキャピタルを円滑に活用可能な形で流通させる仕組みなど、一口に地域通貨といっても一つだけでなく、様々な形態があります。

■地域通貨(Wikipedia)

日本においては特に、地域コミュニティの助け合いを促進する方法としての注目が近年では主体でありました。しかしながら実態としては中々定着が見られず、下火となってしまいました。研究などと共に、一部地域では地域再生事業などの補助事業として自治体主導で推進されているものがあるそうで、以下浦添市のケースもその一例です。ただ様々な問題がはらんでおり、実態として地域に定着するとは中々考えにくいのが現状です。

■浦添市地域通貨実証実験の中身はいかに?

実際に日本においては円が安定的に運用されており、地域通貨などを手に入れても非常に使う機会が限定的です。商店街などで利用されたとしても、その還元は必ず「円」で返してあげなければ経済的な成り立たないわけで、そのためには原資となる基金のようなものがなければなりません。そのためには、基金を成り立たせるような経済性が必要であるわけです。早稲田のアトム通貨においても、この基金を外部企業からの寄付などからスタートさせていました。
これでは地域通貨を成り立たせるために、実際の「円」を集めてくることが必要というなんともまぁ皮肉な状況が生まれます。

このような状況を避けるとなると、基本的には自分の労働対価といったような純粋なサービス(仕入れなどが発生しない)を地域通貨をベースに提供し、なおかつ支払うという限定的な利用方法しか考えられないように思います。しかも自分の経済基盤になるものではないため、自分の生業とするわけにはいかない=あくまで日常の余剰労働としてしか提供できないわけです。

地域内で完全自給自足をしていて、それらを日本円ではなくその地域通貨に一気に切り替えることができるとすれば、このような問題は解決するかもしれませんね。

地域活性化においては、実際の地域ファンドなどの方が実態の動きが少しずつとはいえ進展していると言えます。これは円をベースとしながらも、風力発電など事業を通じてサービス対価を実経済に乗せながら地域活性化を進めるというパターンですね。また、現代版
講ともいえるコミュニティバンクなどの仕組みも少しずつ進んでいると言えます。

ブームを超えて、真に定着する地域通貨の日本における新たなモデルが出てくるにはもう少し時間がかかるようです。