さて、今日からお盆休みという方もいるかと思うので、夏の10冊ということで、ちょいと改めて整理いたします。

色々と組織の中で壁を壊して変革を果たそうとしている方はいらっしゃると思います。
そんな方にはこちらの一冊。なぜ変わらないのかということがわかれば、どうすれば変わりやすいか、が見えてくるというところの理論と実践です。




地方での新規就農含めた農業に関心のある方には、なんだかんだでこちらの一冊ですね。
従来の農業の常識を覆しつつ、新規就農の人がどのような営業モデルから入るのか、作付の計画の前に、実は営業、マーケティングが重要だったりすることがわかる。



あとは、今度ぜひとも実地にお伺いしたいと思っている自伐林業の土佐の森救援隊の中嶋さんによる一冊。林業系はこれからさらに注目される時代になると感じています。というのも、けっこう山をもらったという知り合いがまわりにちょくちょくいたり、相続したという方がいたりしまして、世代交代と共に、大きくやり方を変えていける時代かなと。

New自伐型林業のすすめ
中嶋健造 編
全国林業改良普及協会
2015-05-30


なんだかんだでマーケティングなわけですが、既存のだめな施設とかの再生でマーケティングから入る人は少ない。なぜか皆で話し合って活用策を練るみたいな方法にいきがち。ということで、マーケティング系はダメダメだったUSJを変えるストーリーで実践的に理解できるこちら。



都市経済系においては、年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学、とかもおすすめしてきましたが、この夏は今だからこそ再読したいこちら。自動車中心社会からの離脱は、特に都市中心部の経済開発でこれから大いに注目だなと思っています。



これらの実践的なことに取り組んでいるのが、ドイツの都市中心部だったりします。それらの構造を理解しつつ、自動車と都市経営の関係を整理して考え直す上では、こちらの本を流れで読んでほしいところ。通過交通などがいかにして都市中心部の経済力を削いでいるのか、がよく分かる。バイパスなどを整備して、中心部の自動車航送の見直しは大切。ただそれは単なるインフラ投資型の思考ではなく、あくまで「都市経営」としての視点が必須。




また自動車の社会的費用にも登場する社会的共通資本についての理解を深めたい方はこちらも。

社会的共通資本 (岩波新書)
宇沢 弘文
岩波書店
2000-11-20


一方で、市場化による自由について押し進める経済のあり方についてはこちら。宇沢先生の本を読んだ後にいけばコントラストが見えて、思考の幅的には必要。

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)
ミルトン・フリードマン
日経BP社
2008-04-17



産業系について昨今第四次産業革命とかが叫ばれていますが、関連本はけっこう内容が似たり寄ったりしているので、かつて人類が経験した産業革命(この本では1760年から1830年)ってどのようなものだったのかを見たほうがよいかなと思っています。けっこう読んでみて、機械が仕事を奪って所得が下がるー、みたいな話が今のAI論争でもありますが、案外人の所得を下げるのはテクノロジーではなく、変化が起きているのに変化を阻害しようとする政治・政策なのかなと思ったり。色々と考えさせられる一冊。

産業革命 (岩波文庫 白 144-1)
T.S.アシュトン
岩波書店
1973-07-16


公園系についてパークマネジメントなどについても、海外ばかりが昨今は注目されますが、実は国内において近代的な公園開発においての様々な工夫などは今の時代にも役に立つことが多くあります。当時の議会での紛糾っぷりや、予算が付かない中でどのように造園を行ったのかという知恵と工夫もわかり、なんだよ今よりものすごい挑戦的だなと感心すること沢山あります。

日比谷公園: 一〇〇年の矜持に学ぶ
進士 五十八
鹿島出版会
2011-05-11



さて、上の10冊のみならず、木下本はもちろん読んでいない方はぜひどうぞ。ということで、以下オマケです。笑

まちでなぜ稼ぐことが大切なのか。補助金などありきで物事を考えたり、合意ばかりに頼らずに自分で考えなくてはならないのか。について書いた一冊です。お陰様で今年台湾翻訳本も出ました。



まちで何かを仕掛け始める時、いきなり自分で事業を管理できるところまで至らない場合も少なからずあります。どういうステップで進むのかというあたりを整理した一冊。奮闘する方法について書いています。結局は他人のせいにしたりしているようでは話にならなくて、自分で投資して事業に取り組んでこそわかることがあるわけです。ある意味悪しき雇われ根性ではあかん分野ではあります。小さくても事業を作り、人の飯のタネを作り、しいては産業化していくプロセスが地域再生の基本でもありますゆえ。



地方政策について過去の失敗と、その中でも成果をあげている取り組みについて整理した一冊です。
どうも事業の失敗をかくと行政批判ぽく読む人がいたりしますが、そんなことは全くなくて、過去の失敗を直していくことができれば行政も十分に役割はあるわけです。失敗しない組織はないですが、失敗から学ばない組織は失敗を繰り返します。それはアホです。

地方創生大全
木下 斉
東洋経済新報社
2016-10-07


失敗学については飯田先生たちと共著のこちらもぜひとも読んで頂きたいところです。
昨今の地方創生政策における地域内平均所得の向上などの理論的整理はこの本で飯田先生が冒頭にしてくれています。



現在、リノベーションまちづくりが全国各地で進んでいます。ちょうど5年前、各地でそのような動きが始まった時期に描き下ろしたのがこちらの一冊です。各地の事例を写真や図面付き、日経アーキテクチャ編集部の協力でまとめています。地域のバリューネットワークの組み換えを意識して、物理的なハードの修正を行ったり、その採算計画ってどうたてるのかなどを整理しています。今年、はじめに、おわりになど一部改訂しました。

まちづくり デッドライン
木下 斉
日経BP社
2013-04-04





ということで、お盆休みもバリバリ行きましょう〜!w