明治維新以降の九州の人口中心地は常に推移(熊本→長崎→北九州市→福岡←イマココ)してきているわけだけど、福岡県内における北九州市(合併前含めて)と福岡市の人口ってこんな感じなんだよね。

ものづくり大国、石炭エネルギーの中においては北九州市は圧倒的パワーがあり中心。超優秀都市であり、東洋有数の鉱工業集積地。しかしながら内需中心経済社会へのシフト、エネルギー革命が本格的に進んでいった中で福岡市は一気に人口を集めるようになり、1979年に逆転した。これくらい都市の優位性というのはダイナミックに変化する。

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グラフは
http://demography.blog.fc2.com/blog-entry-7833.html から引用。

都市の人口における優位性は「構成、密度、規模」の3つであることも忘れてはいけない。福岡市は民間経済界や教育機関の努力もあり若者に人気のサービス産業や学都として若年人口を集めていて、都市密度も地方政令市唯一DID人口密度を下げなかった稀有な都市。自動車社会ではなく、歩ける都市が評価される昨今になり、結果として住みよい、働きやすい場となり人が集まるという好循環に入っている。

つまり昔は工業があり、自動車社会が人気だったのが、今はサービス産業があり、様々な大学が集積し、歩いて生活できる都市が人気になった。そこに福岡はドンピシャハマったのだ。都市の評価というのも常に変化する。ファッションほどの速さではないにしても「よい都市」という評価は変わっていくことにも注意したい。

今からパクってもだめだけど、これからの50年を目指した都市戦略の参考になる点は多々ある。地方創生総合戦略などは本来はこういうのをモデルにして、今の時代から50年後をみたら何ができるか、という視点になるべき。一過性の施設開発や移住定住などの小手先プランがいかに無力かわかる。

あと北九州市も別にこれでオワコンではなく、今でも生産力はあるのに付加価値生産力は実際のところ福岡市より高かったりするところで、かつ中核市である下関市も含めれば、100万人以上が同一経済圏にいる。広域であれば成長都市の福岡市に隣接しているのもチャンスの宝庫。かつての話より、これからの話を中心に考え、適切な人口規模に即した都市計画を行政が、次の時代に備えた産業と過去の産業と都市問題解決力をアジアエリアでのソリューションビジネスにつなげようとすればいくらでも可能性があるだろう。

常に都市の評価は変わる。個人的には九州は次はこれまで北部中心だったものの、これからは工業力では劣ったものの、農業生産力の極めて高い南部成長の時代だと思っている。むしろ工業が栄えなかった環境が強みになる。

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